というのも最近の映画もどきは、テレビの延長のような、いわゆるスペシャル枠のような物が多い。
謎を解き明かしたり、世界観を登場人物に語らせたり、映画を見終わった後で、
親しい友人と解釈について話し合う余地のない、
誰がみても同じ感想に誘導されていくような
映画もどきが「映画」の大半を占めている。
実際、見終わった後で、意味分からないと口にする人が多く見受けられたが、
ディックの小説ファンなら、この映画の出来には満足の行く代物だったと思う。
なぜならディックの小説は、読み返すたびに新しい発見があるからだ。
今回の続編はディックの世界観が巧妙に再現されていたように思う。
本編で、説明らしい説明といえば、「レプリカント」の説明だけだった。
あとは、見る側の解釈に任せる。小説版と大差がない。
むしろ小説版より不親切なくらいだ。
映画なら映像がある分だけ、不親切な方が、
小説版と同じか、それ以上に解釈の余地を持たせられる。
これこそがこの映画の素晴らしさだと思う。
ディックの魅力は、最後に前提とする世界観を破壊されるあの感覚。
だと個人的には思う。
この映画にもきちんとそれがある。
一見の価値あり。
あと、主演のライアン・ゴズリングの演技は秀逸。
キャストの豪華ぶり以上に、キャスティングの巧さを感じずにはいられない。
珍しくケチのつけようがない。
なんで、ニューヨーク市警なのにプジョーに乗ってんだという謎はあるが。
前作はアルファロメオだったし(そのあとフィアットに買収されちゃうし
いっそのことダチアにでもしてくれたら良かったのに
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